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「仕事や外出のたびに、愛犬を置いていくのがつらい」「留守番中に吠えていると近所から言われた」そんな悩みを抱えている飼い主さんは多いはずです。犬の留守番の慣らし方には、実はコツがあります。この記事では、出かける前・帰宅後の接し方を変えることを起点に、短い時間から無理なく進める手順をわかりやすく解説します。
この記事の結論
- 出かける前と帰宅後に「大げさな感情表現」をやめることが、留守番トレーニングの第一歩
- 最初は数秒〜数分の短い分離から始め、徐々に時間を伸ばしていく
- クレートやサークルを「安心できる居場所」にしておくと、留守番の成功率が上がる
考えられる原因
愛犬が留守番を苦手にしている背景には、いくつかの理由があります。犬の気持ちや習性から理解しておくと、対策を立てやすくなります。
飼い主さんの「出かける前の行動」がサインになっている
犬はとても観察眼が鋭い動物です。鍵をつかむ、バッグを持つ、靴を履く——こうした一連の行動を繰り返し見ているうちに、「これが始まると飼い主さんがいなくなる」と学習してしまいます。その結果、玄関に近づいただけで吠えたり、興奮したり、トイレの失敗が増えたりすることがあります。
帰宅後に飼い主さんが「ただいま〜!」と大喜びで出迎えると、「飼い主さんが帰ってくるのがこんなに嬉しいこと」と記憶に残り、留守番中の孤独感が余計に強まるケースもあります。出発と帰宅、両方の接し方がトレーニングに直結しています。
一人でいることに慣れていない
特に子犬は、もともと母犬やきょうだいと常に一緒にいた経験を持っています。お迎え直後から「一人でいること」が当たり前の状態として定着していないと、孤独に対する耐性がつきにくくなります。成犬になってから急に長時間の留守番が始まると、ストレスを感じやすくなります。
在宅ワークや育休をきっかけに四六時中一緒にいた環境から、急に仕事復帰や外出が増えた場合も、犬には大きな環境変化です。「慣れていた環境が突然変わった」ことへの不安が、吠えや破壊行動につながることがあります。
分離不安になっている可能性
分離不安(ぶんりふあん)とは、飼い主さんと離れることに強い不安や恐怖を感じ、問題行動が出る状態のことです。吠え続ける・部屋を荒らす・自分の体を舐めすぎてしまう・食欲がなくなるなどのサインが見られることがあります。
分離不安は、しつけだけで解決が難しいケースもあります。気になるサインが続く場合は、獣医師やドッグトレーナーへの相談も選択肢に入れておくとよいでしょう。この記事では、軽度の不安や「そもそも留守番を練習したことがない」状態への対策を中心にご紹介します。
エネルギーが発散できていない
犬は体を動かしたり、頭を使ったりすることでストレスを解消する動物です。運動不足や刺激不足の状態で長時間一人にされると、そのエネルギーが吠えや噛み・破壊行動として出てくることがあります。秋は涼しくなり散歩しやすい季節です。留守番の前に十分な散歩や遊びでエネルギーを発散させておくことが、落ち着いて過ごせる環境づくりにつながります。

解決のステップ
犬の留守番の慣らし方は、「短い時間から始めて、少しずつ伸ばしていく」が基本です。焦らず、愛犬のペースを見ながら進めましょう。子犬・成犬・シニア犬、小型犬・大型犬で進み方や体力が違うので、それぞれの様子を見ながら調整することが大切です。
- ステップ1:出発・帰宅時の「おおげさな挨拶」をやめる留守番の慣らし方で、まず取り組みたいのがここです。出かける前に「行ってくるね〜!さみしいね〜!」と長々と声をかけたり、抱っこしたりすることは、犬の不安を高める場合があります。出発は静かに、さらっと行うようにしましょう。
帰宅後も同様です。玄関に入った瞬間から「ただいま!」と大騒ぎするのではなく、荷物を置いてから落ち着いた声で声をかけるようにします。犬が落ち着いたのを確認してから撫でると、「落ち着いているといいことがある」と学びやすくなります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、1〜2週間続けると犬の反応が変わってくる例もあります。
- ステップ2:クレートやサークルを安心の場所にしておく留守番中に過ごす場所が「嫌な場所」では、慣れるのに時間がかかります。クレートトレーニングや、サークルをごほうびと結びつけることで、「ここにいると安心」という感覚を先に作っておくのが理想的です。
クレートやサークルの中に愛犬の匂いのついたタオルやおもちゃを入れておくのも効果的です。飼い主さんの匂いのついた衣類を一緒に入れておくと落ち着く子もいます。クレートトレーニングの詳しいやり方は、別記事「クレートトレーニングのやり方」で解説していますので参考にしてみてください。
- ステップ3:室内で「プチ分離」を繰り返すまずは同じ家の中で「飼い主さんが見えない時間」を作るところから始めます。たとえばトイレやキッチンにさっと入り、ドアを閉めて10〜30秒待ってから戻るだけでもOKです。犬が静かに待てたら、戻ってきたときに穏やかにほめましょう。
小型犬は大型犬に比べて飼い主の視界に入りたがる傾向がある場合もあるので、最初はドアを少し開けた状態から始めてもかまいません。子犬は集中力が短いため、数秒の分離から始めても十分です。
- ステップ4:玄関の外に出る時間を少しずつ伸ばす室内でのプチ分離に慣れてきたら、玄関の外に出て待つ練習をします。最初は1〜2分程度からスタートし、吠えずに待てたら戻って穏やかにほめます。吠えている最中に戻ると「吠えたら戻ってきた」と学習するので、少し間を置いてから戻るのがポイントです。
時間の伸ばし方の目安は「前回できた時間の1.5倍程度」です。たとえば2分できたら次は3分、というイメージで、焦らず積み重ねていきましょう。成犬より子犬、大型犬より小型犬のほうが環境変化に敏感な場合もあるので、その子のペースを最優先にします。
- ステップ5:コングや知育おもちゃを活用して「一人でも楽しい」を作る留守番中に何もすることがないと、退屈やストレスにつながります。出発直前に、フードやおやつを詰めたコング(ゴム製の詰め物おもちゃ)や知育トイ(頭を使うおもちゃ)を渡すと、「飼い主さんがいなくなるときに楽しいものが来る」というポジティブな記憶が積み重なります。
注意点として、愛犬が一人でも安全に使えるタイプを選ぶことが必要です。飲み込めるサイズのパーツがないか、素材が口に合っているかを確認してから与えましょう。
- ステップ6:実際の外出時間を段階的に延ばすステップ1〜5が安定してきたら、実際の外出時間を少しずつ延ばしていきます。最初は15〜30分の近所へのお買い物程度から始め、問題がなければ1時間、2時間と伸ばしていきます。
シニア犬(7〜8歳以上が目安)は関節や体力の問題から、長時間同じ姿勢でいることが負担になることもあります。水の確保や床材の工夫も並行して考えておきましょう。
室内カメラを使って留守番中の様子をチェックすると、吠えている時間帯や行動のパターンがわかり、次の対策につなげやすくなります。

やってはいけないこと
留守番の慣らし方を進めるなかで、よかれと思ってやってしまいがちな行動が、実は逆効果になることがあります。以下の対応は避けるようにしましょう。
吠えているときに戻る・声をかける
「かわいそう」と思って吠えている最中に戻ってしまうと、「吠えれば飼い主さんが戻ってくる」と学習してしまいます。戻るタイミングは、必ず「静かになってから」にすることが大切です。最初から吠えない時間が作れる短さに設定し直すことも選択肢です。
出発前に長々と「さよなら」をする
出発時に「ごめんね、さみしくないよ」と何度も声をかけたり、抱っこを繰り返したりすると、犬の興奮や不安が高まります。飼い主さんの感情は犬にも伝わりやすいため、出発は落ち着いて、短くすませるほうが犬の安定につながります。
叱る・大声を出す・ケアへの罰として閉じ込める
留守番中に粗相をしていたり、部屋を荒らしていたりしても、帰宅後に叱ることは効果がありません。犬は時間を遡って「なぜ叱られているか」を理解することが難しいため、ただ「帰宅=怖いこと」という記憶が残るだけです。破壊や粗相は、退屈・不安・運動不足のサインとして受け取り、環境や練習内容を見直すきっかけにしましょう。
また、「言うことを聞かないから閉じ込める」という罰としてのクレート使用も、クレートへの苦手意識を強めてしまうので避けてください。
いきなり長時間の留守番をさせる
準備なしに突然8時間以上の留守番をさせると、犬にとって大きなストレスになります。特に子犬や、これまで留守番の練習をしたことがない成犬はなおさらです。どうしても長時間必要な場合は、ペットシッターやドッグホテルの活用も検討してみましょう。
あると便利なグッズ
留守番の慣らし方をサポートしてくれるグッズをタイプ別にご紹介します。最新の情報は販売ページで確認してください。
フード詰め込み型おもちゃ(コングタイプ)
こんな子・こんな飼い主さんに:退屈からくる吠えや破壊が気になる子、「一人でも楽しく過ごしてほしい」と思っている飼い主さん。出発直前にフードやペースト状のおやつを詰めて渡すと、「飼い主さんがいない=楽しいものが来る」という良いイメージを積み上げられます。冷凍すると長持ちします。
室内カメラ(ペット見守り対応タイプ)
こんな子・こんな飼い主さんに:「留守番中どうしているか不安」「何時間くらいで吠え始めるか知りたい」という飼い主さん。スマートフォンからリアルタイムで確認できるタイプなら、吠えのタイミングや行動パターンをつかんで次の対策に活かせます。双方向通話機能付きのものもありますが、声をかけると犬が興奮してしまう場合もあるので、まずは見守るだけの使い方から始めるのがおすすめです。
フェロモン系リラックスグッズ(拡散タイプ)
こんな子・こんな飼い主さんに:環境の変化や一人になることで不安が強い子、なかなか落ち着かない子の飼い主さん。犬が安心感を覚えるとされる成分を空気中に拡散するタイプのグッズです。ただし、効果には個体差があります。使用上の注意を必ず確認し、換気にも気を配りながら使いましょう。

専門家に相談したい目安
留守番の慣らし方を試しても改善が見られない場合や、以下のような様子が見られる場合は、獣医師またはドッグトレーナーへの相談をおすすめします。
- 数週間練習を続けても吠え・破壊行動が改善しない
- 留守番が始まると自分の体を過度に舐める・噛むなどの自傷に近い行動が見られる
- 飼い主さんが視界から消えただけで激しいパニック状態になる
- 急に留守番を嫌がるようになった(これまでは大丈夫だった)
- 食欲の低下・下痢・嘔吐など、体の症状も出ている
- 攻撃的な行動(噛む・唸る)が出てきた
特に「急に始まった」変化は、体の不調が隠れていることもあります。まずはかかりつけの獣医師に相談し、身体的な問題がないかを確認することを優先してください。ドッグトレーナーに相談するときは、「罰を使わない、ポジティブなトレーニング」を方針とするトレーナーを選ぶと、愛犬へのストレスを最小限にしながら進められます。
よくある質問
犬の留守番は何時間まで大丈夫ですか?
一般的に成犬で4〜8時間程度が目安として紹介されることが多いですが、犬の年齢・体質・これまでの慣れ具合によって大きく異なります。子犬(月齢3〜4か月未満の目安)はトイレの間隔が短く、2〜3時間ごとに排泄が必要な場合もあります。シニア犬も体力や膀胱のコントロールの問題から、長時間は負担になりやすいです。愛犬の様子を見ながら、無理のない範囲で設定しましょう。
留守番中に吠え続けているようです。どうすればいいですか?
まず「何時間で吠え始めるか」を把握することが出発点です。室内カメラなどで確認し、吠えが始まる前の時間内で成功体験を積み重ねるよう練習時間を短くします。出発・帰宅時の接し方の見直し(ステップ1)と、コングなどの楽しみの用意(ステップ5)を組み合わせると効果が出やすいことがあります。改善しない場合はトレーナーへの相談も検討してください。
子犬はいつから留守番の練習を始めてよいですか?
お迎えしてから1〜2週間ほどかけて新しい環境に慣れさせてから、少しずつ始めるのが一般的です。最初は「同じ部屋の中で一人にする」程度の短い分離から始め、徐々に時間を延ばしていきます。ワクチン接種が完了していない時期は外に連れていきにくいため、室内での練習がメインになりますが、その時間を慣らしの練習に活用できます。
成犬になってから留守番を嫌がるようになりました。なぜですか?
在宅ワークや育休などで一緒にいる時間が増えたあと、急に外出が増えた場合に起こりやすいパターンです。また、加齢に伴う不安の増加、引越しや家族構成の変化なども影響することがあります。いずれにしても、留守番の慣らし方を子犬のときと同じように「短い時間から」やり直すのが有効です。急に始まった場合は体の変化も疑い、獣医師に相談することを先に行うと安心です。
共働きで平日は毎日8時間以上留守番させています。何か工夫できますか?
長時間の留守番が避けられない場合は、いくつかの工夫で負担を減らせる可能性があります。出発前に十分な散歩や運動をしてエネルギーを発散させておくこと、コングや知育おもちゃで退屈を紛らわせること、ペットシッターや犬の保育園(ドッグデイケア)を週に数回利用することなどが選択肢になります。「留守番の慣らし方」の練習を週末や短い外出で続けながら、日常のケアを組み合わせていきましょう。
まとめ
犬の留守番の慣らし方は、出かける前と帰宅後の「おおげさな感情表現をやめる」ところから始まります。短い時間の分離を繰り返し、成功するたびに穏やかにほめることで、愛犬は少しずつ「一人でいても大丈夫」という自信をつけていきます。子犬・成犬・シニア犬、それぞれのペースがあるので、焦らず積み重ねることが何より大切です。うちの子のペースを信じながら、一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
しつけは一歩ずつで大丈夫。ほかの悩みはしつけの記事一覧からどうぞ。
※犬の体調や行動には個体差があります。気になる症状があるときや、様子がいつもと違うときは、早めに動物病院に相談してください。


